日本雑誌広告協会主催、ロンドン・ミュンヘン研修旅行レポート

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GENIC 企画/編集 大島優(@yuu0125

ミツバチワークスが加盟している一般社団法人 日本雑誌広告協会のロンドン・ミュンヘン海外研修団に参加しました。

例年研修先がニューヨークでしたが、今年は初のロンドン・ミュンヘンということもあり、各国の雑誌広告の近況については非常に興味深いものでありました。

ロンドンでは、FIPP国際雑誌連合、PPA英国雑誌協会、デニス社、TI Media、エコノミスト社、電通・イージスグループのメディアエージェンシーAmplifに訪問。ミュンヘンでは、Media Group Medwethに話を伺いました。

FIPP国際雑誌連合

FIPPは、世界各国の雑誌協会、出版社などが加盟する民間の国際組織。少し前にシティ・オブ・ロンドンに位置するwe work内にオフィスを移しており、スタートアップなどとコミュニケーションを取れることも非常に良い環境であるとのこと。

世界で共通して、インターネット広告が圧倒的に右肩上がりで、出版社は雑誌だけでなく新しい収入源を作っていかなくてはならない状況。雑誌=紙という概念を捨て、マルチプラットフォームになっていかなければならず、例えれば、ディズニーの様にブランドを管理し、様々なプラットフォームで展開してくことが必要だと考ええているとのこと。

有料コンテンツの他に、イベントオーガナイズや、購読者のコミュニティ化、自社の記事作成CMSを販売するIT事業、ブランドライセンス、データ売買など、11のビジネスモデルを掲げている。印象的だったのは、イベントオーガナイズが有料コンテンツの次に大きな収入源となっているとのこと。B to Cのイベントでも50%ほどが収入になるそう。また、WEBの有料コンテンツも好調だそう。

PPA英国雑誌協会

PPAは、300以上の出版社で構成された協会。PPAのリサーチによると、英国のミレニアル世代の内67%も雑誌を読んでいるが、その多くがスマホやタブレットなどデジタルで読んでいるとのこと。また、近年好調な例としては、ガーデニングやサイクリングなどの趣味雑誌や、弁護士や科学者向けの専門誌など、スモールターゲットの媒体で、これらの媒体は雑誌ブランドのプロダクトも売れ、イベントにも購読者が参加する傾向があり、読者との信頼関係を作れているとのこと。

また、主要駅で週に2日、手渡しで配られるフリーペーパー「STYLIST」が、読者が見えるというところでも信頼性が高いメディアとして評価を受けており、広告出稿も好調とのこと。90万部発行され、インターネットにフェイクニュースが溢れている中、雑誌の情報には信頼性が高いことも評価されているとのことであった。(これは今回訪問したどの回でも聞く話であった) 後のAmplifで話を聞いたところ、「STYLIST」のターゲットは都市部に住んでいる若者で、表紙にはハイプロファイルな人を起用、インタビューでその人を深掘りするコンテンツがウケている。ラグジュアリーブランドの紹介なども行なっており、広告は編集方針に合わないものは入れない。

その他、PPAでの取り組みとしてPAMCoと協業し、様々なデバイス、オンライン、オフライン、全てのプラットフォームで読者を測定し指標を出しているとのこと。 公開されているPAMCo WEBサイト上で、特定の媒体の読者が紙媒体/デスクトップ/モバイル&タブレットとプラットフォーム別の割合を出することができる。

例:VogueのDailyアクセス

 

デニス社

デニス社は、時事問題を扱う週刊誌「The Week」、自転車専門誌「Cyclist」、その他テクノロジーなどの媒体をもつ出版社でありながらWEB事業にも注力しており、中古車販売ECの「buyacar」は、中古車情報検索においてSEOもトップを誇っているという。

Buyacar.co.ukは、毎秒4人がサイトにアクセスしているそうで、トラフィックの半分はモバイルアクセス。ユーザーは実際に車を見ることなく購入し、1ヶ月に400台が売れ、ユーザーの内42%は女性で35才のユーザーが多い。

女性ユーザーを増やすための施策に関しては、そもそも既存の中古車販売サイトにおいて女性が親しみやすいデザインのところは少なく、サイトデザインを女性にも受け入れやすくしたり、チャットでいつでも質問を受け付けるなど、女性に対して中古車購入のハードルを下げる施策を行なっているという。

TI Media

TI Media社は、2018年6月にタイムインクUKから改名。

若い世代がSNS流れ厳しい状況で、購読者が減ったことにより雑誌自体の価格改定なども行なってきており、360度展開のメディアになるため雑誌、デジタル、オンラインビデオ、テレビプロダクションなど多角的に展開をしている。

テレビプロダクションとしては、企画を立てテレビ局に売り込み、アイディアが採用されるとフリーランスの制作会社を使って番組を制作する。番組については、ドキュメンタリーが中心で、雑誌のインタビューなどを行なったリアルな人のドキュメンタリーを制作しており、今後も番組数は増える予定で好調とのこと

Women部門については、30代向け、40代向け、50代向け、60代以上の女性ターゲットの週刊誌を発行。同じ編集者が4誌に渡って担当をしており、同じテーマを各ターゲットに合わせて再編集し活用などもしているとのこと。原稿データは全て自社のシステム内でやりとりされており、各特集の進行状況なども一目でわかる様管理されていた。

(8月の時点で今年のクリスマスの企画が始まっていることや、出版社なのにデスクに紙がほとんどないことに驚き、、、!)

 

エコノミスト社

エコノミスト社は2015年から業績が回復し、2018年には過去最高収益に達するそう。

2012年時点は、収益のうち40%前後が購読など読者からの収益で、60%が広告からであったのが、2018年には逆転。マーケティングへの投資を行なったことと、デジタル=無料という読者意識をデジタルも有料と変えさせたことが大きいとのこと。

2012年当時は、紙媒体の購読でデジタル版が無料購読できるプランであったのを、紙もデジタルも同じ価格に。同じニュース提供なのだから、読者が好きなプラットフォームを選べば良いというプランに変更した。これにより、デジタル購読者の課金で収入増に。

またどういう時間にどのような記事が読まれているのかをリサーチし、読者の生活タイミングに合わせてプラットフォームを提供している。家ではラップトップや紙で深く長い記事を読み、通勤途中には今日の3大ニュースを知れるアプリを提供するなど。

Amplif

Amplifによると、英国の15才以上の人口の66%、約35millionの人は雑誌を読んでおり、プラットフォーム別だと紙45%、モバイル35%。

ここでも雑誌離れではなく、紙離れなのだという話があった。女性ゴシップ誌や、テレビガイドはまだまだ紙媒体が強い。紙媒体の売り上げ減に伴っては、この10年間に22%の雑誌は価格を上げている。

広告事例として興味深かったのがヘアケアのtresemmeの事例で、美容院で使われているプロダクトの拡大を目的として、marie claireの1号全体に渡って商品にまつわるコラムや商品紹介を掲載した構成でTUとしていた。1号の間に読者に何度もリーチできるというのは新たな効果が生まれそうで、試みてみたい施策の1つ。

また、ハースト社では、ライセンシングを収入源の1つとしており、売り上げはレベニューシェアになっている。ソファブランドの新製品は、900台売れ、ライセンシングも1つの収入源として有効とのこと。

 

Media Group Medewith

Media Group Medewithは、スイスバーゼルに本社をもち、ドイツを中心に14の言語で80ヶ国に発行している編み物、縫い物、絵画など趣味雑誌を手がける出版社。DIYの分野は、翻訳も容易なため言語展開しやすいとのと。

ドイツでは紙媒体への愛着も強く、現在は売り上げの96%が紙媒体だが、今後の売り上げを懸念し、強みのある分野で売り上げを保つ施策を考えている。今後は、紙媒体にこだわらず、デジタルを含めたブランドとプロダクトを作っていく予定で、Eコマースのプラットフォームを開発中。 多くの出版社は、広告から収入を得る仕組みが多いが、これまで紙媒体で扱ってきた編み物や縫い物の型紙をダウンロードで課金するモデルで収入を見込んでいる。

これから1万件以上の型紙を提供予定で、若年層取り込みのため、youtubeでの番組展開も検討しているとのこと。  

研修全体を通して、「インターネットのフェイクニュースの多さにより、雑誌の信頼性が重要視されている」という話が挙がっていたが、その一方で雑誌とWEBをどちらかではなく、1つのブランドとして展開しているケースが多く、オンラインの価値をどれだけ上げていけるかが、勝負であると改めて感じた。

余談: GENIC Digital Editionで公開されているこの場所へ、撮影にも行ってきました!

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